研究内容 (三宅グループ) 、学部4年生以上向け

一般の方、研究室配属前の学生さん、高校生・高専生向けには簡単な研究内容の説明を用意しています。

紫外線を用いた殺菌による衛生的な水の提供の重要性


  世界保健統計2014[1]によると世界46ヵ国で衛生的な水を設備にアクセスできる人の割合が50%以下であることが報告されています。 衛生的な水へのアクセスがない結果、感染症などが蔓延し、新生児や乳児などの小児の生存率が低くなってしまいます。 このような世界的な問題に対して殺菌用の深紫外線光源が注目されています。 特に波長260 nm程度のUV-Cと呼ばれる領域の光がバクテリアの殺菌に有用であることが報告されており、水殺菌向け(水銀ランプを含む)市場は2020年度には1600億円規模になるといわれています[2]。 現在、水殺菌システムには低圧水銀ランプが用いられていますが、大きな動作電圧が必要であり、素子寿命が短く、水銀を含むため製造禁止になる可能性があるなどの欠点が挙げられます。
これに対して、深紫外LEDは小さな動作電圧であり、使われる材料が無害であり、青色LEDと同じく素子寿命が長くなる等の多くの利点があります。しかしながら、現段階では発光出力や発光効率が低いといった問題点があります。
私たちは、高輝度・高効率の深紫外LEDを作製することで、世界中の人へ衛生的な水へのアクセスを提供し、社会に貢献することを目指しています。
以上のとおり、深紫外LEDは、高いエネルギーで生物のDNAを破壊するため、人体に有害な薬品等を使用せず、水や大気の殺菌が可能で、農水分野での応用が期待されています。その他、紫外線吸収を応用した樹脂硬化・検査・計測・分析などへの応用も提案されています。
[1] 世界保健統計2014 http://www.unicef.org/gambia/Progress_on_drinking_water_and_sanitation_
2014_update.pdf
[2] 日経エレクトロニクス2017年10月号



最近の研究成果


  深紫外LEDを作るには、窒化アルミニウム(AlN)基板が必要となり、その製造方法について国内外のグループが研究を進めています。 AlNの基板の製造方法には大きく分けて、@サファイア下地基板上にAlN膜を結晶成長させるヘテロエピタキシャル結晶成長法と、AAlN下地基板にAlN膜を結晶成長させるホモエピタキシャル結晶成長法の2つがあります。 ヘテロエピタキシャル結晶成長法では従来「MOVPE法」が行われてきました。汎用性が高い「スパッタ法」は、大面積で均一な膜の作製に適した方法ですが、低品質のAlN基板しか製造できない問題がありました。
これに対して私たちは、スパッタ法で製造したAlN基板に、高温で熱処理(アニール)を行うことで低コストに高品質なAlN基板を製造することを可能にしました。(この方法は通称三宅方式と呼ばれています。) この方法は、高出力で低価格な新市街LEDの実用化に不可欠な技術として世界中で注目されています。
現在は、学術的に重要なこの方法の背景にあるメカニズムの解明や、深紫外LEDなど光・電子デバイス応用へ向けた要素技術の研究をオプトエレクトロニクス研究室(三宅・正直グループ)全体で行っています。





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三宅グループ
三宅秀人 
miyake*elec.mie-u.ac.jp

元垣内グループ
元垣内敦司 
motogaito*elec.mie-u.ac.jp

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